土地活用の匠

神戸の土地活用は、「建物をどうするか」より先に決めることがある

神戸の土地活用というと、アパート・マンション経営や駐車場が思い浮かびやすいところです。ですが、幹線道路沿いや駅前のまとまった土地、そして前のテナントが退去したあとの建物には、商業テナント(ロードサイド店舗・サービス施設)を誘致するという選択肢があります。

多くの方は「解体するか、建て替えるか、売るか」から考え始めます。しかし実務では、先に「その場所に出店したい企業」を探し、そのテナントに合わせて建物と契約のかたちを決めるほうが進めやすくなります。貸すのか、建てて貸すのか、売るのか。それは借り手の見通しが立ってから選べます。

神戸市内で土地・建物の活用が課題になる場面は、テナントが退去する(退去した)/使わなくなった店舗・倉庫が遊休化している/駅前や幹線道路沿いの土地に何を建てるか決まらないの3つに整理できます。

この記事では、当社が神戸市内で関わり、実績紹介ページで公開している成約事例4件をご紹介します。当社が公開している兵庫県内の事例は119件、うち神戸市内は48件です。

神戸の土地活用。当社実績から主な選択肢を比べる

神戸市内でご相談をいただく土地・建物は、駅前のまとまった区画から丘陵地の遊休店舗まで幅があります。オーナーさまの初期負担と収益の入り方で整理すると比べやすくなります。

活用のかたちオーナーの初期負担収益イメージ本記事の事例
既存建物を解体せずに貸す小さい〜中(撤去範囲と費用負担区分の調整)賃料収入③ 西区/④ 垂水区
解体して更地で貸す(事業用定期借地)解体費地代収入(長期・安定)—
建てて貸す(建貸し)建築費賃料収入① 兵庫区(土地を取得した事業者が建築)
売却する(次の借り手が決まった状態で)小さい一時金(継続収入はなくなる)② 垂水区

【実績】神戸市内の土地活用・成約事例4件

以下は、当社が神戸市内で関わり、実績紹介ページで公開している4事例です。写真をクリックすると実績の詳細ページが開きます。


① 神戸市兵庫区/JR兵庫駅前 ─ 土地建物ホルダー・建物企画会社と協業した、新築のヘルスケアビル




JR兵庫駅第2NKビル(ウエルシア薬局様ほか)


この事例のポイント — 2022年初旬に大手建設会社様から、JR兵庫駅前の土地について企画・売却のご依頼をお預かりしたことが出発点です。当社は、土地建物ホルダーであるJR西日本不動産開発様、建物企画のパートナーであるヴィタ様と協業しました。土地の保有、建物の企画、各階の運営を、それぞれ別の事業者が分担する組み立てになっている点が特徴です。2〜3階のクリニックモールの形成はヴィタ様、1階のドラッグストア&調剤薬局はウエルシア薬局様が担っています。設計・施工および行政協議は各専門会社が担当し、上層階に入る運営事業者は土地建物ホルダーの社内決裁を経て決まりました。当社は各階のテナント誘致と契約条件の取りまとめを担当しています。

なお①は、土地を取得した事業者が建築し、建物の企画と各階の運営をそれぞれ別の事業者が担う組み立てです。土地をお持ちの方がご自身で建てる場合とは進め方が異なりますので、駅前のまとまった土地の進め方の参考としてご覧ください。



所在神戸市兵庫区(JR兵庫駅前)
用途構成1F ドラッグストア+調剤薬局/2〜3F クリニックモール/4〜7F 住宅型有料老人ホーム/8〜13F サービス付き高齢者向け住宅
案件の入り口大手建設会社様からの企画・売却のご依頼(2022年初旬)
活用のかたち複数の事業者による協業(新築の建貸し)
竣工2026年3月


② 神戸市垂水区/コンビニ跡 ─ 退店時期に合わせた売却のご相談から、テナントが決まった状態での売却へ




家族葬のゲートハウス舞子坂(ラポール様)


この事例のポイント — ご相談の入り口は、賃貸中のコンビニエンスストアの退店時期に合わせた売却でした。当社は買主の探索とテナント誘致を並行して進め、次に入るテナントが決まった状態で売買が成立しています。

当社が担当したのは、買主とテナント候補の探索とご提示、売買契約書面の作成と重要事項説明、契約から決済までの進行管理です。経済条件の調整、テナント様への引渡し、テナント様の改修工事の承認は、共同仲介会社と連携して当社が調整を行いました。賃貸借契約書は共同仲介会社が原案を作成し、当社とテナント側の仲介会社を交えて条文を整えました。契約の段階では、テナント側の窓口を共同仲介会社とテナント側の仲介会社が務め、改修工事の設計はテナント様が手配した設計事務所、施工は共同仲介会社が担当しています。

結果として、買主は引渡し時点で賃借人が決まっている物件を、売主は賃貸借契約の条件を前提とした評価を得られました。退店の時期が分かっている段階でご相談いただけると、賃貸と売却の両方を並行して検討できます。



所在神戸市垂水区
前の用途コンビニエンスストア(賃貸中・退店予定)
次の用途家族葬ホール
ご相談内容退店時期に合わせた売却のご相談
活用のかたちテナントが決まった状態での売却
OPEN2024年10月


③ 神戸市西区/自動車ディーラーの遊休店舗 ─ 建物を解体せず、次の店舗として再利用




BUDDICA 神戸西支社(BUDDICA様)


この事例のポイント — この案件は、自動車ディーラー様が所有する遊休店舗の活用依頼をお預かりしたことが出発点です。当社は出店計画を持つ企業の動きを継続的に把握しています。本件では、他社からBUDDICA様のご紹介を受け、本物件の条件が合いました。

当社は契約条件・引渡し・テナント様の改修工事の承認について調整を担当しました。退店にあたっての原状回復工事は退店する側が行い、改修工事の設計・施工・内装は、BUDDICA様が自社で選定した各社が担当しています。建物は解体せずに再利用し、内装はテナント様が自社の仕様に合わせて改装しました。

なお当社は、大阪府堺市でも同じBUDDICA様の出店をお手伝いしています。



所在神戸市西区
前の用途自動車ディーラーの店舗(退店予定)
次の用途中古車販売店
案件の入り口自動車ディーラー様からの遊休店舗の活用依頼
活用のかたち既存建物を解体せずに賃貸(内装はテナント様が自社の仕様に改装)
OPEN2024年9月


④ 神戸市垂水区/総合フィットネスクラブ跡 ─ 既存の設備を引き継げる後継テナントを誘致




ルネサンス・ビエラ明舞24(ルネサンス様)


この事例のポイント — 商業施設のなかの、総合フィットネスクラブが退店する区画の後継誘致です。当社ははじめ、施設内に未出店の業種(ドラッグストア・クリニックモールなど)を対象に、区画割り案と収支の見通しを並行して検討しました。ただし異業種への転換は改修工事費の規模が大きく、成立には至りませんでした。最終的に、既存の内装を活かして一部の改装工事で出店でき、24時間営業とジュニアスイミングスクールの運営が可能であることを前提に、同業のルネサンス様の出店が決まりました。

その後は、資産・維持修繕・原状回復工事の費用負担区分について、貸主とテナント様の双方に確認しながら調整を取りまとめました。賃貸借契約書は貸主側が作成し、当社は取りまとめた区分が特約条項に反映されるよう調整しました。

なお当社は、同じビエラ明舞で、別区画へのクリニックの誘致もお手伝いしました。



所在神戸市垂水区(ビエラ明舞)
前の用途総合フィットネスクラブ(プール付き)
次の用途総合フィットネスクラブ(24時間営業・ジュニアスイミングスクール)
案件の入り口退店の意向が出た区画の後継テナント誘致
活用のかたち既存内装を活かした後継テナントの誘致
OPEN2025年7月


4つの事例からわかる、神戸の土地活用3つのポイント

1. 「貸す・建てる・売る」は、借り手の見通しが立ってから選べる

②③④は、それぞれ違う出口に着地しています。②はテナントが決まった状態での売却、③は既存建物を解体せずに賃貸、④は後継テナントの誘致。共通しているのは、その場所に出店する企業を固めながら、建物と契約のかたちを決めていることです。「解体するか建て替えるか」を先に決めてしまうと、選べる出口が限られます。
①は複数の事業者が協業して新築した事例で、建物の計画が先に進み、各階のテナントは竣工前に確定しました。

2. 前のテナントの設備・内装を引き継げると、テナント側の初期投資が下がる

④は、前のテナントが使っていた設備・内装を引き継げる同業種が入った事例です。
改修の量は、テナントが出店可否を判断するときの要素の一つです。設備や内装を引き継げる業種であれば、テナント側の初期投資が下がり、賃料や引渡しの条件を詰めやすくなります。

3. 「売る」ときも、テナントが決まった状態にできる

空き建物・空き地のまま市場に出すと、買い手は「借り手がつくかどうか」を自分で見込む必要があります。賃貸借契約が付いた状態であれば、賃料収入を前提とした収益物件として検討できます。
②では、売却のご相談に対して買主の探索とテナント誘致を並行して進めたことで、テナントが決まった状態での売却になりました。売却をお考えの場合でも、先にテナント誘致の可能性を確認する価値があります。

神戸で土地活用を進めるときの注意点

神戸市は六甲山地と海に挟まれた細長い市街地に、丘陵地の住宅地が広がる地形です。他エリアとは違う論点がいくつかあります。

・高低差のある土地は、既存の構造物を活かせるかで費用が変わる
神戸市内では、敷地に高低差があることが珍しくありません。擁壁・駐車場・スロープといった既存の構造物をそのまま使える配置計画にできるかどうかで、造成にかかる費用は変わります。既存の構造物を残す案と解体する案の双方で概算を出してから、テナント候補と条件を詰める順序になります。造成工事は着工後に想定していなかった条件が出ることもあるため、資金計画には幅を持たせておく必要があります。

・上下水道・地中障害は、事業費の振れ幅を左右する
丘陵地・造成地・工場跡地では、上下水道の接続や地中障害への対応にかかる費用が、事業計画の途中で出てくることがあります。兵庫区の「小さなお葬式 神戸夢野ホール」の事例では、下水管が敷地の前面まで来ておらず、引込工事の費用が必要になりました。
当社では現在、こうした費用について、あらかじめ予備費を見込んでいただくことと、増えた場合の負担区分を契約条項に定めることをご提案しています。

・駅前の再開発ビル・区分所有建物にも、活用の余地がある
土地活用というと「土地と一棟の建物」を想像しがちですが、垂水駅前の再開発ビルでは区分所有のパチンコ店跡にドラッグストアを誘致しました。区分所有の場合は、用途変更の手続に加えて管理組合の合意形成が必要になり、時間はかかります。

・行政の開発条件が付いた区域では、誘致できる業種が限られることがある
市有地の処分などに伴って開発条件が付いている区域では、誘致できる業種があらかじめ限定されていることがあります。西区の「セブン-イレブン 西神中央駅北店」の事例では、市有地を取得して建てられた店舗付賃貸マンションで、神戸市から業種に関する厳格な制限が課されるなかでテナントを誘致しました。誘致を始める前に業種の制約の有無を確認しておくと、候補の絞り込みが早く進みます。

なお、市街化調整区域の可否、公簿と実測の差、用途変更に伴う法規制といった、エリアを問わず共通する論点は、大阪の土地活用の記事で整理しています。

ご相談から開店までの流れ

神戸市内の案件では、はじめに敷地条件とインフラ、法規制を確認する順序になります。ここで事業費の振れ幅が大きく変わるためです。そのうえで建物と立地に合う業種を洗い出してリーシングに入り、賃料・引渡しの状態・改修工事の費用負担区分を詰めて契約に進みます。引渡し後、内装工事を経て開店という順序です。

規模が大きいほど、また関係者が多いほど時間はかかります。 空室が長引く前に動き出せるかどうかが結果を左右します。

まとめ|神戸の土地活用は「借り手の見通しを立ててから、貸す・建てる・売るを選ぶ」

神戸で土地活用を考えるとき、「解体して更地にする」だけが答えではありません。今回の4事例が示しているのは、次の4つです。

・駅前のまとまった土地は、土地を取得した事業者が建て、建物を企画する事業者・各階を運営する事業者が役割を分担することで、大規模な複合施設になる(兵庫区・JR兵庫駅前)
・前のテナントの設備・内装を引き継げる業種が入れば、建て替えずに次の店舗を開ける(垂水区・フィットネスクラブ跡)
・建物を解体せずに賃貸すれば、テナント様が自社の仕様で内装を改装して次の店舗を開ける(西区・遊休店舗)
・売るときも、テナントが決まった状態にできる(垂水区・コンビニ跡)

当社は関西圏を中心に、ロードサイド店舗から大型複合施設まで、テナント誘致(リーシング)と契約条件の取りまとめをお手伝いしています。神戸市内では48件の成約実績を公開しています。

神戸市内の土地・跡地・遊休店舗の活用について、「これはそもそも貸せるのか」という段階からで構いません。まずはお気軽にご相談ください。
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